1『はじめに』

高校入試制度はたいへん複雑です。

これまで、先輩のお母さま方の話をお聞きになったり、受験雑誌を手に取られた方もいらっしゃると思いますが、多くの方が、「わかったような、わからないような」お気持ちになっているのではないかと思います。

その理由は、高校入試の仕組みが複雑であることに加えて、情報の一部がオブラートで包まれて公開されていることにあります。

そこで、ここでは、これまで伸栄学習会が独自に取材したことを中心に、高校入試の実態に迫りたいと思います。

ご納得のいく進路選択の一助になれば幸いです。


複雑な高校入試制度

最初にクイズです。
秋が深まり、いよいよ入試本番。そんなときの、ある中学3年生のつぶやきです。

「このあいだの模擬試験の結果は悲惨だった。こんな成績だと××高校(ここに私立の中堅高校が入る)なんて受からないよ………」

この中3生の言葉には「誤り」があります。
どこが「誤り」なのかおわかりになるでしょうか?

おわかりにならない方、この後の私の話におつきあい下さい。
ひょっとしたら、高校入試についての「見え方」がすこし変わるかもしれません。

まず、答えを申し上げます。

私立高校、特に中堅高校では入試の合否は中3の12月に決まります。その合否は学校の成績で決まります。ですから、「受かるかどうか」は心配する必要はないし(結果は入試日の前に出ているのですから)、それに模擬試験の成績は合否に関係しません。

私は浦安市で20数年間、塾の教師をやっております。
この間、「入試の仕組みががよくわからない」というお話しは何度もお聞きしてきたからです。

それに、高校入試の仕組みを誤解して、不利益を得そうになる場面を何度も目撃してきました。

このコラムでは、一般の書籍などに書かれている事柄は最小限に抑え、そのかわりに、多くの方の気付いていない事柄を中心にお話しします。

でも、1つだけお願いがあります。
それは、高校入試の細かな実態について100%お伝えするのは文章では不可能だということです。

なぜなら、最終的には、個々の高校の実態はすべて異なっているからです。

浦安・妙典からは県立・私立合わせて100校以上の高校の選択が可能です。これらのすべてを語ることは、実は、不可能です。

従って、これからの私の話は、あくまでも「総論」としてご理解下さい。

各高校の「各論」と「総論」と食い違うこともあります。「この点がおかしいのでは?」という感想をお持ちでしたら、是非、ご連絡下さい。また、個別の高校については、ご質問下さい。

しかし、これからお話しする「総論」さえご理解いただければ、進学先の決定や、勉強の仕方などにかなりご参考にあるのではないかと思います。


3つのカテゴリー

まず、下表をご覧下さい

 

私立高校 ①前期入試/推薦入試 ②後期入試/一般入試
公立高校 ③入学者選抜

※高校入試には3つの形態がある。それぞれの入試の仕組みは全く異なる。

高校の種類は大きく分けて、「公立高校」と「私立高校」に分かれます。そして、私立高校は2回の入試を行っています。

従って、入試の種類は全部で3つということになります。

さて、ここが一番のポイントです。
この3つの入試はすべてルールが異なるということなのです。

受験生の立場でいえば、合格と不合格の判定方法がすべて異なるということです。

恐らく、多くの方は、入学試験で合格するためには、入試の本番で良い点を取ればよい
とお考えになっているのではないでしょうか。

しかし、現実の高校入試はこのようにはなっていません。
3つの入試は、それぞれ異なったルールで合格と不合格が決められるのです。
入試制度がわかりづらい原因はここにあります。

ですから、まず、「入試に合格するには入試本番でよい点を取ればよい」という常識を捨てて下さい。
そして、その上で、これからお話しします「4つのカテゴリー」のそれぞれについて、ルールをご理解下さい。