2『私立の前期入試/推薦入試』

2つに分ける

まず、名称です。

千葉の私立高校では「前期入試」、東京や埼玉などの私立高校では「推薦入試」と呼んでいます。名称が異なります。ただ、内容は同じものと考えていただいて結構です。

千葉の入試が1月中旬から、東京の入試がこれより1週間程度遅れて試験が開始されます。

この私立の前期入試(推薦入試)が、もっとも複雑でもっともわかりづらい入試です。

まず、2つのケースに分けて考えることにします。
私立高校といってもいろいろあります。
入試の難しさもいろいろです。

ここでは、合格と不合格の判定方法の違いという点で、
(A)偏差値60以上の高校と、
(B)偏差値60以下の学校
とに分けることにします。

もちろん、この偏差値の数字はあくまでも目安です。微妙な数値にある高校については、個別に見ないとはっきりしたことは言えないことをまずお断りします。


偏差値60以下の高校

誤解を恐れずに申し上げます。

これらの高校では実質的な入学試験は行われていません。(冒頭でお話ししたとおりです)学力試験がなくて、「面接だけ」という場合もあります。

それに、ほとんどの高校では、倍率が1倍(すなわち落ちる人がいない)という結果になっています。

ですから、これらの高校については、「試験を受けられるかどうか」がポイントになります。

この入試に限っては、誰でも自由に試験を受けることができるとは限りません。
なぜならば、中学校長の「推薦書」が必要になるからです。

では、どういう条件を満たせば「推薦」が受けられるか。
一番大きな要素は、中学3年生の時の「学校の成績」、すなわち、通知表の成績です。

各高校は成績基準というのを設けています。
例えば、A高校では5教科で16、とかB高校では9教科で36………とかです。

5教科で16という意味は、国数英理社の5教科で16以上、つまりオール3に4が1つという意味です。9教科で36というのはオール4を意味します。

成績基準は高校によって異なります。レベルの高い高校ほど高い成績が要求されるのは当然です。数値は公表されています。高校の説明会でも話題になります。

そして、この成績基準をクリアすれば、原則として「推薦」を受けられます。

ただし、欠席日数が著しく多かったり、どこかの教科に1があったり、あるいは問題行動があった生徒の場合は「推薦」を受けられない場合もありますので用心して下さい。

以上の通り、これらの高校の入試では、学校の成績で決まるといっても過言ではありません。偏差値は関係ありません。中1・中2の成績も関係ありません。

冒頭のクイズの答えがお分かりいただけたと思います。

模擬試験の結果と私立の入試とは関係ありません。私立にとっては「学校の成績」こそがすべてなのです。

私立の受験は「単願(専願)」と「併願」があります。
「単願(専願)」とは、その高校を第一志望として受験する入試です。合格すれば(先にお話ししたとおり不合格になることはないのですが)必ずその高校に進学しなければなりません。

「併願」とは、その高校を第二志望として受験する入試です。例えば、公立高校を第一志望として、その私立を第二志望とする場合です。この場合は、第一志望に合格すれば私立をお断りすることができます。

「単願(専願)」でも「併願」でも基本的なルールはまったく同じです。

どちらも受験=合格です。
ただし、成績基準が併願の方が単願より高い(単願の場合、3教科で9、併願の場合は3教科で10………など)というケースはよくあります。


偏差値60~65以上の高校

これらの高校は入試の仕組みは、これまでのお話しした高校とはまったく違います。

前期入試(推薦入試)といえども学科試験が課せられます。そして、その試験の結果によって合格と不合格が振り分けられます。

いわゆる学科試験による入試とお考え下さい。
(次にお話しする私立の一般入試と仕組みは同じです)