2019年7月号……『読書感想文の大きな誤解』 講師/山内 雄司

 

日本の学校の先生は大変なお仕事だと思います。教員の超過勤務についてもたびたび新聞等に書かれますし、塾講師として各学校を訪問する際にもそのご苦労はひしひしと感じます。私自身、私立の高校で教鞭を取っていたことがありますので、心から応援しております。

それでも、多くの学校の先生は長年大きな誤解をし続けていると思うことが何点かあります。そのうちのひとつが、読書感想文の指導方法です。

「読書が嫌い」という子どもは多くいます。世の中には読み物の名作がたくさんあり、それらは長い年月多数の人々の高評価を得ています。こういう作品を読むことが面白くないわけがありません。

それでも読書が嫌いと言う子がいるのは、まず活字を読み取るのが苦手だという理由があります。これは速読速聴のトレーニングをして、映画のような情景を頭に思い描けるようにしていけば解決できます。

もうひとつ、「この本を読んだら感想文を書かなきゃいけない、それがとても嫌だ!」という子どももいます。私もこういう子に同感です。子どもから読書の楽しさを奪う感想文の課題など、無くなってしまえばいいと思っております。書く本人もつらいし、そういう感想文を読んで面白がる人もいません。誰も得をしていないのです。

感想文を、書いても読んでも面白くないものにしてしまうのは、根強い誤解があるからです。
そのうちのひとつは、「感想」を書いてしまうことです。

読書感想文なのだから「感想」を書くのは当たり前だと思われそうですが、これが諸悪の根源と言えます。子どもが本を読んだ後に感想を聞くと、「面白かった!」「わくわくした!」「泣きそうになった!」などの言葉が返ってきます。そして、これらは著者が泣いて喜ぶような作品に対する大賛辞になる素晴らしい言葉です。

ところが、子どもに「感想を書きなさい」と強制すると、「面白かったです。」「わくわくしました。」「かわいそうだと思いました。」という文になってしまいます。そこに大人が追い打ちをかけて、「面白かっただけじゃなく、もっと他にあるでしょう、考えて書きなさい!」となるため、子どもにとっては苦役になってしまうのです。

そのうえ、「原稿用紙2枚以上ね。」と、さらに子どもを追い詰めます。「面白い」という素直でシンプルな言葉を原稿用紙2枚以上にさせるなんて、これはほとんど罰ゲームのようなものです。こうして子どもたちは、自分の身を守るべく、内容が薄くても水増しして規定枚数を越えればいいというつまらない方法を身につけていくのです。

私は子どもたちにこう言っています。「感想なんか書いてはいけない!」

読書感想文には、感想以外に書くべきことがたくさんあります。それらを踏まえてひとつひとつしっかり書いていけばいくらでも長い文章になりますし、それを読んだ人に「これはいい!」と感心させることができます。

8月1日(木)に、「読書感想文講座」を行います。扱う内容はなかなか高度なものであると自負していますが、小学生から高校生まで、充分に理解してもらえるように仕上げました。早速夏休みの課題にも利用していただけます。ぜひ、積極的なご参加をお願いします。

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