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講師 山内 雄司

 この春、中学校の教科書が大改訂されてもうすぐ1年が過ぎます。今回の改訂では、教科書が厚くなり文章量が増えて文法や単語量が増えただけではなく、英語教育に対する姿勢そのものが変わりました。その1つがプレゼンテーションです。これまでも教科書の片隅にそれらしき課題が載っていましたが、今の教科書ではほとんどの章末にプレゼンテーションの用例が載っています。内容は自己紹介、友人の紹介、好きな本や音楽の紹介、自分の理想など多岐にわたります。

 ただ、その実態はというと、プレゼンというよりも予め作ったセリフを丸暗記して声に出す、という程度に留まっています。中学校の現場でも子どもから話を聞く限り、指導要領にあるから仕方なくやっているという印象を受けます。ですから、塾の授業では、特に対策をしなければならないという切迫感は必要ないと考えてきました。

 しかし、プレゼンテーションはやりようによっては生徒たちの英語力を底上げする材料になります。

 例えば「自己紹介文」。やり方次第では、これまでの学んだ文法の復習としてもってこいです。中1の初めなら「be動詞」を使って「I am .」「This is my .」などの英文を頭に叩き込むことができます。もう少し進んだら、「I like .」「I don’t have .」「I can .」などに、さらに友人を紹介する文にすれば、「She has .」と三単現の練習に広がります。また、中3であれば、「I have practiced tennis .」など現在完了に発展させることもできます。

 英語では基本文の暗記がとても重要です。文法などを知識として学んで、練習問題を解いただけではなかなか定着しません。例えば、受動態なら、その典型文を丸暗記しておくことがとても大切です。一般的には、教科書の文をピックアップして典型文としますが、自分で自己紹介文を作って暗記すれば、もっと効果的です。その意味でプレゼンテーションは文法など英語の基本を習得するのにとても効果的といえます。

 しかし、これはまだ本当の意味でのプレゼンテーションと言えません。習った文法を当てはめてシンプルな文を作り、丸暗記して話しているだけです。

 これをホンモノのプレゼンテーションに繋げるには、まだまだ克服すべき課題が山積しています。プレゼンテーションをするためには、何を話したいのか、説得するためには何が必要なのか、順番はどうするのか等など高度な論理的思考力が求められます。そもそも、多くの子どもたちは、日本語でもプレゼンテーションをする力を持っていません。これを英語でなると、さらにハードルが上がるのは当然です。

一方、そうはいっても、実社会ではプレゼンテーション能力が必須です。日本語であれ英語であれこの力は身につけるべき課題の1つです。せっかく勉強するのですから、そこまで繋がる練習をしたいものです。塾という限られた時間の中ですが、英語の学びの先にプレゼンテーションを見据えて指導を進めたいと考えています。

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