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2014年5月号……『センター試験はなくならない』 塾長/青沼 隆

現在、大手メディアは「センター試験の廃止とそれに代わる新テスト導入」について盛んに報道しています。新テストはセンター試験に代わり、次のような内容になると報道されています。

・高校3年間で複数回の受験機会を設ける
・一般入試に利用する「発展」とAO・推薦入試に利用する「基礎」の2レベルを用意する
・1点刻みの点数化を改めて段階評価とする
・マーク問題のみならず記述問題を取り入れる………等など

センター試験はわが国の大学入試において最も根幹となるものです。試験は毎年1月中旬に実施され、国公立大学志願者にとっては一次試験として、原則5教科7科目(国数英理社)が課せられます。また、全国の9割の私立大学もセンター試験を利用した選抜を行っています。試験はすべてマーク式で記述問題はありません。受験者は56万人に達し、わが国最大規模の試験の1つとなっています。

大学入試は高校・中学・小学校の入試に直接影響を与えます。意識しているかどうかは別にして、小中高生は大学入試に向けて勉強を進めており、学校のカリキュラムや教材なども大学入試を目指して作られています。

従って、もしセンター試験の廃止が実現されれば、高校生のみならず小中学生の勉強にも多大な影響が及びます。新テストは5年後を目処に導入されるとありますので、実現すれば、現在の中学2年生から新しい制度下で大学入試が行われることになります。

メディアの報道を見ていると、あたかもセンター試験が廃止されて新テストの導入が決定したかのような印象を持ちます。ただ、結論してはこの改革は実現しないだろうと予測します。先日もある大学入試の専門家の話を聞きましたが、この方は「センター試験はなくならない」と断言していました。

そもそもこの話は、昨年6月に教育再生実行会議が、「センター試験を廃止して新テストの導入を検討する」と公表したことに端を発しています。教育再生実行会議は、安倍政権の肝いりで発足した私的諮問機関です。早稲田大学総長の鎌田氏を座長として15名がメンバーとなっていますが、この中には進路指導経験のある高校関係者や大学入試の専門家は含まれていません。従って、現実の入試制度を踏まえた議論がされた形跡はありません。

例えば、マーク方式を改めて記述問題を取り入れたのは結構なことです。ただし、56万人分の採点を一定期日に終わらせることは不可能です。複数回の受験機会も同様です。日程をいつにするか出題範囲をどう定めるのか、実現性のある目処は立っていません。AO・推薦入試に利用する基礎テストにいたっては受験者がいそうもありません。

このように考えますと、センター試験は実質的に廃止される可能性は高くありません。恐らく、名称の変更など実施要領の一部変更で幕引きになりそうです。良し悪しは別にして、現行の入試システムは当面大きく変わることはなさそうです。

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