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2005年11月号……『将来の夢』 塾長/青沼 隆

「夢」に翻弄される子どもたち

子どもの時から、できればなるべく早いうちから、「将来は×××になりたい」という夢があった方がよいと言われています。将来の夢がハッキリすれば、目標ができて頑張りがきくからだというのが理由の1つのようです。確かに、例えば、「通訳になりたい」という夢ができれば、英語を頑張ろうという気持ちになりますし、その気持ちも持続するだろうと思います。

大学のAO入試や推薦入試の面接では、「あなたの夢は何ですか?」という質問が“定番”となっています。この質問を通じて学生の意欲や資質などが測られます。今年も多くの受験生にその指導をしました。これから始まる高校入試でも同様で、中学生たちに「夢作り」の指導をするだろうと思います。

「夢があれば頑張れる」というのはよく理解できます。でも、中には、「夢が決まっていないから頑張らない(頑張れない)」という子どももいます。もちろん、自分の怠けを正当化するために、単なる屁理屈としてこの理由をでっち上げる場合もあります。しかし、中には、本当にそのように思い込み、「一刻も早く夢を見つけなければ」焦っている子どももいます。ご両親や先生からも、「早く夢を見つけるように」というプレッシャーを受けて、思い悩んでいる子どももいます。

現実問題として、大半の子どもは、将来の夢を見つけていません。高校生になって、理系か文系かを選択する段階になっても、まだ、自分の将来像を決めかねているケースはいくらでもあります。考えてみれば当然で、人生経験の浅い高校生にとっては、むしろ“見つかっていない”方が自然ではないかと思えます。

一方、将来の夢を決めているという子どもも、実際のところは、偶然に作用された「思いつき」としか思えないようなケースもよくあります。ある時にテレビを見ていて「かっこいいと思った」というのはその典型です。しかし、確かに、人生というのは、熟慮に熟慮を重ねた結果決まるのではありません。ある些細な偶然で決まるケースも多々あります。その意味では、「テレビを見て」というのも一理あるのかもしれません。

職業だけが「夢」なのだろうか

しかし、それにしても、子どもたちが自分の将来の方向を早く決めたがる、あるいは周囲の大人たちがそれを促す風潮には、大きな疑問を感じています。
第1の理由は、結局のところ、「自分のことは自分ではわからない」と思えるからです。例えば、自分の長所は、いろいろな経験を通じたくさんの人との出会いの中からだんだんに分かってくるものです。しかも、その分かり方も、自分で気付くのではなく周囲から教えられるケースもよくあります。まだ、人生の短い子どもには、それを知る十分な時間やチャンスがありません。ですから、自分自身が分からないのがむしろ当然ではないかと思えます。自分自身が分かっていない人間が、その将来像を描くのは極めて困難です。

第2の理由は、将来の夢が、あまりに職業に限定されすぎていることです。ふつう、「将来の夢」というと「×××の職業につくこと」として扱われます。しかし、人間にとって、「×××の職業につくこと」より、もっと、大切なことがあります。それは、「○○○のような人間になること」です。例えば、「一隅を照らせるような人間になること」とか「周囲の人間をいつも和ませることのできる人間になること」とか、その他いろいろです。そして、その夢に向かって、今、自分は何を成すべきなのか、あるいは何をしてはならないのかを考えながら、自らを律して生きていくことはとても意味深いことだと思えます。しかも、この「○○○のような人間になる」という夢は、誰でもいつでも思い描くことができます。もちろん、特別な才能や技能も必要ありません。

しかしながら、例えば、入学試験の面接の場面で、「将来の夢は何ですか」という質問に対して、「自分の夢は○○○のような人間になることです」と回答したらどうでしょうか。恐らく、高い評価を得ることは難しいだろうと思います。残念なことです。しかし、入学試験は入学試験として、自分自らが、「○○○のような人間になろう」と思い立つのは自由です。

「×××の仕事につく」ための努力はもちろん大切です。しかし、×××の仕事を通じて、どのような貢献をしていくかを考えることはもっと大切かもしれません。「どのような仕事につく」かよりも「どのように仕事をするか」の方がある意味では大切ではないかと思います。与えられた環境を生かしつつ、自分がどのような人間になり、どのような貢献をすべきかを子どもの時から意識しているのは意義深いことです。

ご家庭でも、一度、「○○○のような人間」になるためにはどうしたらよいかを、お話しいただけたら如何かと考えます。

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