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2012年12月号……『変曲点』 塾長/青沼 隆

かなり昔の話です。男の子は中学2年生くらいになると、それまでパットしなかった子が、突然、勉強に目覚めて、小学生時代、全くかなわなかった女の子を追い抜いていく、ということがしばしば語られていました。

ただ、今、このようなことが話題になることはありません。塾の仲間からもこんな話を聞く機会は皆無です。どうしてなのか詳しいことはよくわかりません。ひょっとしたら、成績を巡って子どもに大きな変化があったのかもしれませんし、あるいは、単なる「神話」だったのかもしれません。それに、ひょっとしたら、これをご覧のご両親さまも、こんな「神話」があったこと自体、ご存じないない可能性もありそうです。

ただ、それはそれとして、ある時、これまで勉強してこなかった子どもが、突然、勉強に目覚めるという変曲点を迎えることはよくあります。そのきっかけや時期はさまざまですが、最近、高校生にそれを感じることがよくあります。高校生というと、小学校・中学校の遺産を引きずっています。現実問題、勉強の差はかなりついています。ですから、「高校生が突然………」というと、意外に感じられる方も多いのではないかと思います。

ただ、高校は中学とくらべて格段に成績を上げやすい環境にあります。高校受験の段階でレベルが細分化されて、自分と同じレベルの生徒が入学しています。学校内の成績は「似たもの同士」の間で競われます。従って、成績を上げるのもカンタンなら、下げるのもカンタンです。中学時代までと異なり、ちょっとしたガンバリやサボリがすぐに成績の結果となって現れます。

上位レベルの高校に進学した子どもは、これまでずっと「できる子」と評価されてきました。しかし、高校進学後は、確率的に半分の子どもが「できない子」になります。反対に下位レベルに進学した子どもは、「できなかった子」が、高校では半分が「できる子」になります。子どもに与えるモチベーションは、中学時代とは大きく変化します。

一方、大学受験に目を向けますと、一昔前はほとんどがペーパーテスト(学力テストによる一般入試)で決まっていました。ですから、下位レベルの高校生が上位レベルに逆転するのは至難の業でした。しかし、現在は一般入試のウエイトは50%程度に落ちて、代わって、AO・推薦入試の比重が大きくなりました。AO・推薦入試では「受験資格」をクリアする必要があり、この資格は高校内の成績によって決まります。しかも、この基準は、上位校も下位校も同じモノサシで測られます。つまり、通知表の「5」は上位校も下位校も、平等に「5」と評価されます。従って、下位校の子どもにも、有名大学に進学できるチャンスは飛躍的に高まりました。

こんなことも背景にあってか、このところ、塾の中では高校生のガンバリが目につくようになりました。このことはたいへん好ましいことと感じております。言うまでもなく、最終学歴は「大卒」で評価されます。小中高の名称は多くの場合、評価の対象外です。その意味で、大学に直結する高校でのガンバリは、それまでの小学校や中学校より価値があります。

高校受験もいよいよ最終コーナーにさしかかりました。恐らく、本人も保護者も、目の前の受験で目一杯ではないかと思います。しかし、できれば、気持ちのほんの一部だけでも、「進学後」に残していただけたらと思っています。少なくても、受験終了後に勉強を止めるという愚は、絶対に犯して欲しくありません。

人生の本当のスタートは社会に出てから始まります。学歴はそのスタート位置を決めます。より納得のできる大学に進学するため、より納得のできる仕事に就くため、より納得のいく人生を築くために、受験終了後の勉強を大切にしてい欲しいと願っています。

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