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2006年10月号……『先を見越した進路設定』 塾長/青沼 隆

受験生にとっては、いよいよ進路決定の時期が到来しました。学校との相性や部活動、私立の場合は授業料、それに偏差値など考慮に入れて志望校を絞り込んでいることと思います。ただ、現実問題として、いろいろな要素の中で、多くの人にとっては偏差値が大きな目安になっているのではないでしょうか。「少しでも高い偏差値の学校に合格したい!」というのは、ご両親さまにとっても本人に取っても共通の願いだと思います。

これを反映してか、ほとんどの塾では、偏差値ランキングに基づいて進路相談が行われ、「少しでも高い学校に」にという話し合いがされているのも事実です。特に、規模の大きな進学塾では「合格実績」が翌年の集客に影響が及びます。ですから、この傾向はますます高いと言われます。一方、保護者や本人とっても、「塾に通うのはレベルの高い学校に進学するため」という切実な目的もあります。これらを考えると、「志望校選びは偏差値で」というのも必然性があることになります。

ただ、私は、この考え方は常に正しいとは思えません。学校選びにおいては、「敢えて低い偏差値の学校」を選ぶのも1つの方法だと考えています。先日も、ある塾長とこんな話をした際に、彼は私の話を聞いて文字通り絶句していました。彼にとって(そして多くの塾にとって)、塾が偏差値の高い学校を推薦するのは「常識」であって、それ以外は考えられないからです。

私が偏差値にこだわらない理由はとても簡単です。それは大学入試制度が多様化して、ご両親さまの時代とは違って、「一般入試」がすべてではなくなったからです。多くの大学の「AO・推薦入試」では教科の試験がありません。その上、受験資格として高校3年間の学校の成績が求められます。ですから、高い偏差値の学校(自分のレベルギリギリの学校)に進学すると、AO・推薦入試を資格そのものを失ってしまう可能性すらあるからです。

もう1つ、木更津高専のようなケースもあります。高専というと、「ピンとこない」方や「短大か」とお感じの方も多いと思います。確かに、昔の高専は短大でした。高専では5年間の一貫教育が行われ、短大と同様の資格で卒業する学生が多かったからです。しかし、今では、高専は、ある意味では隠れた「エリートコース」になっています。

高専卒業後に就職する学生は40%程度います(成績が悪いからではなく多くは家庭の判断)。残りは、大学3年生に編入したり、2年間の専攻科を経て大学院に進学しています。そして、その多くが、かなり成績の悪い人でも国公立の大学に進学しています。進学を希望する生徒の大部分が、浪人しないで国公立大学に進学できる学校はそうざらにありません。

例えば、県内トップといわれる千葉高といえども、卒業生の半分は浪人です。しかも、浪人しても、国公立大学、しかも理系に進学できる生徒はさほど多くありません(理系は文系より進学が難しい)。

ちなみに、千葉高の入試偏差値は70,木更津高専は62です。国公立大学の理系に進学したい人にとって、最短ルートは高専かもしれません。しかし、中学3年生の時に偏差値70の生徒が高専を選ぶケースはあまり多くありません。偏差値に対する抵抗があるのと、それ以前に、多くの人がこんな「情報」を持っていないからです。

進路の決定にあたっては、「その先」(大学や大学院)の進学を考えて決めた方が、はるかに納得のいく選択ができると思います。もちろん、受験生として、偏差値を上げる努力はしなければなりません。しかし、だからといって、「偏差値ギリギリの学校選び」が常に正しいとは思えません。確かに、競争が好きな人にとっては、同じ仲間の集まっている「偏差値の高い学校」がベストです。しかし、すべての子どもがそうであるとは限りません。

進路の選定にあたっては、お子さまの適正や将来の進路を考慮に入れて、「先のこと」を考えて決めることをお勧めします。当学習会では、このような進路相談をしている、極めてユニークな塾だと自負しています。

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