2001年10月号……『5教科7科目』 塾長/青沼 隆

すでに新聞発表されましたとおり、2004年度から国立大学の入学試験に5教科7科目が課せられことになりました。いわゆる学力低下問題を背景に国立大学協会が提唱していたもので、すでに、大半の国立大学が実施に踏み切るとしています。5教科7科目とは、国語・数学・英語に社会2科目(日本史・世界史・地理などから2科目選択)、理科2科目(物理・化学・生物などから2科目選択)を意味します。これまで、大学入試は一貫して入試科目が減らされてきましたが、流れが変わります。2004年度入試というと、ちょうど、現在の高校1年生が該当します。従って、現在の高校1年生から国立大学の入試のハードルが高くなるわけです。

大学入試のハードルが高くなる一方で、小中高の学校の勉強は学習指導要領の改訂で軽くなります。小学校・中学校では、来年度より現行の学習内容より30%カットされ、高校では再来年より選択科目が大幅に導入されます。この結果、生徒に“不人気”な物理や化学などは選択しなくても卒業できるようになるわけです。公立高校では私立高校と異なり、この新しい施策が忠実に実行に移され生徒の教科の選択幅が今より更に拡大されます。その結果、公立高校の更なる地盤低下は必至といわれています。千葉県の教育庁のある責任者も、千葉高や船橋高などのトップレベルの県立高校といえども、大学合格者が大幅に減ってしまうことを心配しています。

いずれにしましても、一方で国立大学の入試が難化して、その一方で、小中高で学ぶ勉強内容は簡単になります。ですから、学校の勉強と大学入試とのギャップは現在より更に拡大します。この先は(現在でもそうですが)、「学校の勉強だけをしていても大学は受からない」というのが常識になるだろうと思います。

もう1つ問題なのが、小中学校の勉強が易しくなりますので、高校入試の意味合いが変わってしまうことです。新しい教科書を見て、もうマトモな高校入試問題は作れないと言っている教育関係者はたくさんいます。例えば、英語の長文問題などでは、単語の意味の注記が本文より長くなってしまうとか、観光ガイドのようになった社会の地理では、知識を問う問題が作れなくなってしまうと言われています。その結果、高校入試は空洞化してしまい、受験勉強をしなくても高校に入学できてしまうケースが増えてくると思います。来年度の入試から中央大付属や青山学院は推薦入試を導入しますが、これらは将来の高校入試の空洞化を見越した動きと言われています。ですから、小学校や中学校であまり勉強しなくても高校に行けるようになりそうです。そう言うと、多くの子どもたちは喜びそうですが、問題はこの先にです。すっかり勉強から遠ざかってしまった高校生が、今度は突然、厳しい大学入試に直面するわけです。その一方で、私立の中高一貫校は先般も書きましたとおり、学習内容を減らしません。公立中学の出身者はこの面でも苦戦を強いられるわけです。

小中学校の学習内容の30%削減、高校入試の空洞化、高校の授業の選択制拡大、その一方で大学入試の難化という状況の中で、公立中学の出身者が大学受験を勝つ抜くためには、「学校任せ」の勉強から脱却するしかないと思います。「お上(文部科学省)に任せておけば安心、学校にお任せすれば何とかなる」という考え方は、通用しない時代になりつつあります。子どもの進路を見極めつつ、「子どもの勉強をどうするのかを判断するのは親の責任」という時代はすぐそこまで来ています。

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