2007年9月号……『100分間』 塾長/青沼 隆

勉強に「集中力」が必要だというのは常識の1つです。

ところで、なぜ、勉強には「集中力」が必要なのでしょうか。恐らく、この答えの1つは「効率」ではないかと思います。ダラダラとやったら、覚えられるものも覚えられないし、理解も進みません。何時間やっても先に進みません。つまり時間に対する効率が良くありません。「もっと真剣にやりなさい」という言葉の背景には、この「効率」があるように思えます。

ただ、長年、塾の中で子どもたちを見ておりますと、「集中」には別の要素があるように思えてきます。上手く言葉では表現できないのですが、それは、「力の発揮」ではないかと思います。

当学習会では、毎年、夏期講習の終わりに『テストの受け方を学ぶ講座』という特別講習を行っています。ここでは、実際にテストを子どもに受けさせて、“うっかりミス”や“あと少しの努力で得点できるもの”がどのくらいあるのか検証することにしています。例年、子どもたちが、もし“うっかりミス”や“あと少し”をと得点できれば、だいたい偏差値で10ポイント上がることを実感させています。

今年も、生徒20数名の数値を平均するとだいたい10ポイントアップになっておりました。ところで、この特別講習では、テスト中の子どもたちの様子を詳しく見ております。複数の講師が、子どもたちがテスト中にどのような動きをしているか、ちょうど精密機械を組み立てる職人のような目で見続けるわけです。

テスト中の子どもたちを見据えていますと、通常の授業では見えない姿が浮かび上がってきます。それは、一言で表現すれば、「テストの集中していない」という現実です。テスト時間50分のうち、本当に集中している時間は、平均すると30分弱です。残りの時間は「ボー」としていたり、できそうもない問題を当てもなく眺めています。(中には、鉛筆を置いて眠ってしまう子どももいます。)

この特別講習を長年行ってきて感じるのは、偏差値の高い子どもほど、テストに集中している時間が長く、偏差値の低い子どもはその反対ということです。そして、偏差値の低い子どもほど、頑張ろうという気持ちがあっても、「もたない」という現実です。50分という時間は、子どもにとってとてつもなく長い時間のようです。

日頃「集中」して勉強しなければ「効率」が悪いので頭に入りません。そして、それだけではありません。テストで、たとえ「わかる」問題があっても、その力を発揮できる保証なんかないということです。

どんな人間もミスを犯します。しかし、そのミスは「見直し」によって防げます。しかし、「見直し」するエネルギー(集中力)がなければ、ミスはそのままミスとして残ってしまいます。

よくスポーツ競技において、日頃の練習の成果を100%発揮するのは難しいと言われます。これは勉強でも同じではないかと思います。特に、入学試験など意味合いの重い試験になればなるほどこの傾向が高まります。ということは、例えば、試験時間が50分の場合、日頃の勉強で、もし、50分集中できないとするなら、本番でも絶対に50分集中できないことになります。本番では日頃の練習(勉強)の100%を発揮することができないとすれば、ふだんの勉強ではその2倍の100分間の集中できなければならないということになります。

「勉強時間は集中すれば短くても良い」と言われることがあります。しかし、子どもたちの実際の姿を見ていると、どうもこの言葉は一面しか捉えていないのではないかという気がしています。勉強だけではなく日頃の生活も含めて、子どもには100分集中できるトレーニングが必要ではないかと思っています。

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