2012年11月号……『高校中退』 塾長/青沼 隆

せっかく入った高校なのに5万人の生徒が不登校になっています。一般的に不登校や中退の問題は、学力の低い高校で発生する現象として捉えられています。確かに、この問題は、偏差値や経済格差と関連が深く、学力レベルが下がるほど発生頻度が高いというのが実情です。

ただ、これらの不登校や中退とは別の次元に、普通の高校生、とりわけまじめな勉強のできる高校生ほど、学校を辞めがちという傾向もあります。従って、高校中退は、誰でも起こり得る可能性のある問題として認識すべきかと思います。

高校中退生を支援しているあるNPOの調査によると、
①入学後考えていたモノと違っていた
②校則違反やその他の問題
③スポーツ推薦を含めて部活でのトラブル.
が主な原因で、この3点で全体の三分の二を占めるとのことです。

1点目の「入学後考えていたモノと違っていた」というのは、高校側と生徒側との情報のミスマッチによるものと考えられます。現在、私立も公立も、少子化の中で激しい生徒の奪い合いを行っています。このような中、学校説明会などでも、高校は口当たりのよいことしか話さない傾向があります。また、多くの生徒も、友だちが行くから、先輩がいるから、説明会が感じよかったから、偏差値が合っていたから、制服が……、部活が……といった表面的な理由で学校選びをしがちです。このように、学校と生徒との間にキチンとした情報交流がされていないのです。

2点目の「校則違反」の中にはさまざまな要素が含まれているとのことです。その中には、軽微な問題、例えば並んで歩いているときに、誤って相手の目に肘がぶつかってしまった。ケガをした訳ではないのに、被害にあった両親が猛烈に学校にクレームを申し入れた。その結果、加害者が自宅謹慎→退学に追い込まれたというケースもあるそうです。モンスターペアレントの出現、学校の生徒指導力不足、それに調査不十分などが重なって悲劇が誕生しているそうです。

3点目の「部活のトラブル」の例として、特定の高校の部活で、下級生いじめが頻発しているそうです。そもそもレギュラーの数は限られています。先輩にとって、優秀な下級生の出現は自分の地位を脅かします。従って、そこで競争が生まれるのは当然ですし、1つ間違えればいじめにつながります。これらを正しく指導するのは、高校の校長以下の教職員や部活の顧問の役目です。役目を放棄すれば陰湿ないじめが生まれるのはある意味当然です。「校長や顧問が代わらない限りこのような問題はくり返される」とも言われています。

以上、高校中退にはさまざまな原因があります。ただ、総じて言えることは、自己の将来のキャリアプランが曖昧であることも一因かと思えます。生徒も保護者も、高校・大学を卒業してその先どうなりたいのか、高校に進学する意義は何なのかをある程度明らかにしておくことが必要かと考えます。

キャリアプランを考えるのはもちろん子ども本人です。しかし、子どもの力だけでは足りません。志望校選びもご両親さまのお力が不可欠です。多くのご両親さまは「本人が決めること」と仰いますが、今一歩踏み込んで関与をされることをお勧めします。

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