2003年7月号……『都立高校に目を向けてみませんか』 塾長/青沼 隆

これをご覧のご両親さま方は、“高校”という言葉に対して、ある一定のイメージをお持ちではないかと思います。朝は決められた時刻に学校に登校して、一定の教科からなる時間割があって、テストが年に何回かあって、成績が悪ければ落第もある………。しかし、今、お隣の東京では都立高校の大改革が進行中で、昔の高校のイメージからは想像もできないようなバラエティに富んだ高校が次々に誕生しつつあります。現在もその改革が進行中ですが、これから約10年くらいの間に、都立の約200校のうち1/3が統廃合の対象になり、新しいタイプの高校に生まれ変わることが決定しています。残念ながら、千葉でも県立高校の改革プランがありますが、そのスピードは東京とくらべようがありません。改革が成功するのか、あるいは改革そのものが正しいことなのかどうかは歴史の判断を仰がなければ何とも言えませんが、生徒や保護者にとって選択肢の幅が広がるのは好ましいことではないかと思います。東京都の改革は、一言で表現すれば、「従来型の高校がなくなり(少なくなり)、新しいタイプ、バラエティに富んだ高校に生まれ変わる」ということに尽きます。

もちろん、千葉県民には都立高校に入学する資格はありません。ただし、住所の移転などにより条件をクリアすることは可能です。現に、浦安市内でも、かなりの方が東京の公立小学校や中学校に越境入学しています。しかし、高校のケースはあまり聞きません。もちろん、高校の場合、入学試験があり、それに内申書が絡むのでいろいろ面倒な問題があります。ただ、東京都の現状を見ますと、これからは、高校でも積極的に越境が考えられて良いのではないかと考えます。以下、東京でどのような都立高校が生まれているのか、そして、これから生まれようとしているのかレポートしたいと考えます。

1.進学指導重点校
新聞などでも何度も報道されましたが、大学進学に的を絞った高校です。すでに、日比谷・戸山・西・八王子東の4校が認定され、来年度からはさらに3校が追加されます。教員が他校とくらべ1.5倍配置され、カリキュラムの編成などを自由に行うことができます。昔のような“名門日比谷高校”が復活するのかどうか疑問視されていますが、一方で、千葉の現状を見ますとかつての“公立王国”の面影はどこやら、例えば、東大合格者数でも、県立千葉高は私立渋谷幕張に抜かれ今後その差はますます広がると言われています。これら県立千葉や船橋の現状と比較しますと、少なくても東京の意気込みは評価できると考えます。

2.エンカレッジスクール
偏差値的には進学重点校と対局にある高校です。勉強の嫌いな子どものための高校で、いわゆる座学(座って行う学習)はごく一部の授業に限られ、体験型の授業(例えばガーデニングなど)が大半を占めます。授業も30分で入学試験も学力検査ではなく面接・小論文で行われます。2校が今年開校し、そのうちの1校は足立区にあります。

3.進学重視型単位制高校
レベル的には進学重点校の次ぐ2番手に位置します。“単位制”とは“学年制”の反対語で、3年間に決められた単位を取得すれば卒業できる学校で、学年制のような落第はありません。(学年制の場合、落第するとその学年で取得した単位がすべて無効になりますが、単位制は取った単位はすべて卒業の際に認定されます)この高校では、自分の進みたい大学にあわせて、自由に選択科目を取ることができるのが特色です。

4.デュアルシステム
来年開校される大田区の単位制工業高校の1過程(定員30名)として発足します。1年次は複数の企業で年に約2ヶ月、2年次は約2ヶ月、3年次は約4ヶ月の間、工場に出向いて教育訓練(労働)を行います。もちろん、この間の労働は正規の学校の単位ととして認められ、卒業後はその訓練受け入れ企業に就職することが望まれています。大田区には多くの中堅企業(工場)がありますが、後継者難に悩んでいる企業が多いそうです。一方、勉強はあまり好きではないがもの作りの好きな高校生もいます。これらの両者を取り持つのがこの学校の役割です。

5.チャレンジスクール
小学校や中学校で学校になじめなかった子どものための高校です。不登校の生徒のための高校とも言えます。北区と世田谷区の2校がすでに開校されていますが、来年さらに江東区(東陽町)に1校開校されます。以前、桐ヶ丘高校(チャレンジスクール第一号)の校長に話を聞きましたが、「これまでの学校は“子どもが学校に合わせてきた”が、この学校では“学校が子どもに合わせる”。教員にも、この学校では“教員”ではなく、“サービスマン”であることを徹底させる。」と話していました。とても驚いたのを深く記憶しています。

6.その他
職業科と普通科を合体した総合学科高校(例えば、コンピュータをやりたい生徒は情報に関連した教科、大学進学したい生徒は入試科目の教科、工業をやりたい生徒はその系統の教科などを中心選択できる高校)、進学型の商業高校(英語の授業を週に9時間取れ、私立文系大学の現役合格を狙う高校)、中高一貫校(再来年開校予定)など、さまざまな高校がすでに開校、もしくは開校予定です。

当学習会では、今後、県立高校の動向をウオッチしていくのは当然ですが、都立高校の動きにも注目していきたいと考えています。ご質問などありましたらいつでもお寄せ下さい。

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