2016年4月号……『手っ取り早く』 塾長/青沼 隆

成績を上げたい、できれば、あまり苦労しないで成績を上げたい。勉強で遠回りをしたくない。塾では勉強のコツを教えて欲しい。コツさえつかめれば、何とかなるはず。

こんなふうに思っている子どもは、少なくないように思えます。

確かにこの気持ちはわかります。最小の努力で最大の成果を上げる、勉強はなるべく楽しく苦労しないでやる………そのこと自体は間違っていません。そもそも、効率性の追求は人間にとって永遠の課題の1つです。その証拠に、「勉強」を「仕事」にという言葉に置きかえれば、多くの経済誌などに、その具体的な方法が特集としてしばしば取り上げられています。

しかし、長年の塾講師の経験で感じるのは、子どもたちが思っているような魔法の勉強法というのは、残念ながら「ない」というのが結論です。コツをつかめば成績が上がる、先生の教え方がよければ勉強が楽しくなる、というのは理想です。短期的にそうなったり、他の要因が重って実現することはあり得ます。ただ、圧倒的に多くの場合、魔法は長続きせずに元に戻ってしまうのが現実です。

手っ取り早い勉強を求める子どもには、共通した要素があります。それは、inputよりもoutputに気持ちが傾いているということです。つまり、テストの点数を上げること(output)に夢中になり、上がれば喜び、下がればガッカリします。しかし、その一方で、授業にしっかり取り組む、課題をしっかりやるという努力(input)を避ける傾向があります。成績のアップダウンに振り回され、自分のなすべきことを直視しようとしません。

誰でも授業よりスマホに夢中になります。問題を解くよりもゲームの方が楽しいに決まっています。でも、しっかり授業を受けて、キチンと問題を解かない限り成績が上がることはありません。スマホやゲームの誘惑に負けていては一歩も前に進まないのは当然です。成績を上げたいといくら願っても、コツさえつかめればと期待しても、成果が上がるはずはありません。勉強に対する耐性を高めること、そして、日々しっかりと学びを実践するしか方法はありません。

もちろん、「正しい勉強法」はあります。しかし、それは手っ取り早い勉強法ではなく、忍耐力を鍛える勉強法です。私たちが提供できるのは、手っ取り早い勉強法ではなく正しい勉強法です。子どもたちには正しい勉強を学んで欲しいと願っています。

子夏、筥父の宰と為りて、政を問う。子曰わく、速やかならんと欲すること毋かれ。小利を見ること毋かれ。速やかならんと欲すれば則ち達せず。小利を見れば則ち大事成らず。

(現代語訳)
子夏(孔子の弟子)が筥父の長官になった時、政治について尋ねた。孔子は、「事を急いではいけない。小さな利益にとらわれてはいけない。事を急げば失敗に終わるし、小さな利益にとらわれては大きなことを成す事はできない。」と答えた。      (論語 子路第十三)

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