2008年10月号……『定期試験』 塾長/青沼 隆

学習指導要領
公立中学で行われている定期試験の問題に変化があります。
学校の授業は文部科学省の定める「学習指導要領」に従って進められます。従って、学校で実施される定期試験も、原則としてこの学習指導要領に沿って作られます。

現行の学習指導要領は2002年から実施されていて、教科の学習内容が従来より大幅に削減されました。この結果、「学力低下」の批判を浴びました。一方、この学習指導要領では、生きる力を育むというキャッチフレーズのもとで、「自ら学び、自ら考える力」を育成することが求められています。

お手許にお子さまの通知表がありましたらご覧下さい。各教科の「観点別学習状況」欄の一番上は、“××(教科名が入る)への関心・意欲・態度”、そして一番下の欄は、“××の能力”“××の知識・理解”となっているはずです。ちなみに、ご両親さまが子ども時代だったときの通知表は、この順番が反対になっていました。

通知表がこのように変わったのは、学習指導要領で、「知識・理解・技能」より「意欲・関心・態度」が重視されるようになったからです。このこと自体は結構なことかもしれません。しかし、現場の教育、特に試験の問題作成には大きな混乱を呼び起こしました。いろいろな原因がありますが、要は、ペーパー試験では、知識・理解・技能は測れても、関心・意欲・態度は測りづらいという現実があるからです。

悪問集
この学習指導要領が実施された2002年からしばらくは、定期試験の問題傾向に大きな変更はありませんでした(全国的な傾向はわかりませんが、浦安・行徳ではそうでした)。ところが、年月が経るに従って、だんだん、文科省の意向に沿った問題が増えてきました。これが、冒頭に述べた定期試験の変化です。

例えば、数学の問題で、「次の問題を教科書にのっている公式に従って、説明しながら解きなさい」というのがあります。単純な計算問題です。もし、ふつうに解いてよいなら3行くらいで正答に至ります。ところが、このような条件を付けられると、教科書にのっている公式を覚えておかなければなりません。数学の指導では、公式暗記ではなく、自分の力で公式を導けるようにするのが一般的です。それに、説明を添えるとなると、中学生にとっては、数学というより国語の要素が圧倒的に高くなります。理解に苦しむ設問です。ただし、「意欲・関心・態度」を測ると言われれば、それまでです。

英語も同様です。一昔前までなら、英語の学校の定期試験は、教科書の内容を理解して覚えておけば、8~9割の得点を取ることができました。しかし、今の試験では、教科書だけではこんなに高得点は得られません。教科書の中身が著しく薄くなり、これだけでは問題作成ができなくなってしまったのも原因の1つです。リスニングや自己PR文など日常英語の出題が一般的になり、それに、教科書を離れた文法出題も目につくようになりました。

以上の実情を踏まえ、伸栄学習会では、「新たなプリント」を作って生徒指導をすることにしました。これまでの定期テスト対策プリントは、文字通り「予想問題」であり、よく出そうな問題の集大成です。これはこれで大切なのですが、「新たなプリント」はその反対です。

どういうものかというと、「これまで学校の定期試験に出題された問題」で、かつ、「教科書や学校のワークにはない問題、ふつうの学習指導では扱うことのない問題」の寄せ集めです。私たち講師は、密かに、このプリントを「悪問集」と呼んでいます。

中学の学習指導要領は2012年から改訂されて実施されることになっています。新しい学習指導要領のもとでは、このような「悪問集」を作らないで済むことを願います。

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