2009年9月号……『学習量』 塾長/青沼 隆

仕事も勉強も“効率的”に行うのは、一種の美徳とされています。ダラダラとやるよりも、サッサと済ませれば、残りの時間を別のことに振り向けることができます。

よく勉強の成果は、「学習の質×学習の量」で決まると言われます。この式に従えば、質を高めれば、量を増やさなくても成果が上がるということになります。少ない時間で高い成果というのは、多くの子どもたちの望むところです。よく子どもたちから、特にテストが近くなると、「どうやったら成績が上がるの」という質問を受けます。これは、「量を増やさず(つまりラクして)成績を上げる方法はないの」という言葉に置き換えられると思っています。

質を高める方法はあります。問題集の使い方、ノートの使い方、計画の立て方などはその一例です。もちろん、子どもたちに教えることもできます。ただ、だからといって、めざましく質が高まることはほとんどありません。指示したとおり実行されることがほとんどないからです。たいてい、中途半端なやり方に終わってしまい、結果として、質は大して高まりません。

長年、塾で子どもたちと接してきて感じるのは、質はやり方やテクニックだけでは高まらないということです。ふだんあまり勉強していない子どもに、問題集の使い方を教えても、その通り実行するだけのエネルギーが不足して、完遂することができないのです。

子どもたちは「質」を高めるには、そのベースとなるエネルギーが必要だということに気付いていません。何かコツやテクニックがあれば、質は自然に高まると思っています。しかし、こんな魔法のようなコツやテクニックは、勉強に限っては残念ながらありません。

結局、結論としては、勉強の「質」もまた、努力によってしか高まらないのではないかということです。ふだんの勉強の「量」が、皮肉にも「質」を決めているという事実です。確かに、その転化のスピードは子どもによって異なります。しかし、大きな目で見れば、「質」は先天的に備わっているのではなく、後天的な本人の努力によって獲得されるものではないかということです。

先ほどの勉強の成果をもう一度引き出してみます。「学習の質×学習の量」のところの、「学習の質」を「本人の能力×学習の量」に置き換えて、再度、元の式に代入します。すると、学習の成果は、「本人の能力×学習の量の2乗」となります。

これに従えば、勉強の成果は「学習量」でほぼ決定されるということになります。コツやテクニックで成果を上げたいと思っている子どもには、期待はずれな結論だと思います。しかし、「努力に勝る天才なし」は、やはり真実だと思います。

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