2016年9月号……『子どもにとって大切なこと』 塾長/青沼 隆

「自ら進んで勉強ができた方がよい」「将来の見通しをもって、今やるべきことを理解して実行できた方がよい」というのは当たり前の常識です。だから、親も教師も、遊んでいる子どもに対して「ちゃんと勉強しなさい」、入試が近づいているのにダラダラしている子どもに「ちゃんと目標を立てなさい」と口を酸っぱくして言います。

でも、翻って考えてみたときに、こんなことを言っている自分に不安を感じることがないわけでもありません。勉強なんてできなくても、世の中で成功している人はたくさんいる、目標なんか立てても、結局はムダになることが多い。果たして、自分の常識は信じるに値するのだろうか、子どもに言っていることは本当に正しいのだろうか………

この世に「絶対はない」とよく言われます。恐らく、その通りだろうと思います。教育も同様です。子どもに常識を語ったとき、子どもを叱ったとき、ふと不安を感じることがよくあります。そんなときに、自分の信念に揺るぎを感じ、一方で、それを振り払うために自分を鼓舞し、なんとか気持ちを前向きにすることがあります。

そんな中、先日とても「ホッ」とするデータに接する機会に巡り合いました。ある大学教授が数年にわたって高校生・大学生・社会人を追跡して調査したもので、「一人でいるのが好きなタイプ」「特段の特徴のないタイプ」「自主学習のできるタイプ」「クラブ・アルバイトに勤しんでいるタイプ」の4つに分類したときに、忍耐力・チャレンジ精神・問題解決力・協調性などで「自主学習」「クラブ・アルバイト」タイプの学生が優れていたそうです。

また、「目標をもっていてそれを理解実行できているタイプ」「目標を持っているが理解実行できていないタイプ」「目標を持っていないタイプ」に分けたときに、同様に「目標あり理解実行タイプ」が優れた成果を上げている、とのことです。

さらに、30歳くらいの若い社員を対象にした調査で、社会的に成功している人ほど、大学時代に「自主学習」「目標あり理解実行」タイプだった人が多かったそうです。そして、「自主学習」「目標あり理解実行」タイプはどの時点で形成されたかをふり返ると、おおよそ、高校2年生時代に築かれていた、というものです。

これを大ざっぱに捉え直すと、社会で成功するには、「自主学習」「目標あり理解実行」が重要な要素、そして、この姿勢は高2時代に築かれ、それ以降の逆転は難しい、というのが結論でした。同教授はこう言います。「高校の先生から、大学でしっかり教育しないから人が育たない、と批判されることがよくあるが、実際は違う。高校時代にしっかり教育しないから、大学でブラブラすることになるのです。」この責任のなすりあいはともかく、いわゆる「常識」が実証研究で検証されたことに強い興味を覚えました。

この調査では、対象が高2以降のため、それ以前は不明ですが、私の30数年の経験では、高2よりもっと以前、恐らく、中学生時代にこの要素はある程度固まっていると感じています。中学時代の学習姿勢や人生の向き合い方は大切です。これが、その後の社会での成功とリンクしていることを、もっと強く、子どもたちに伝えなければと感じた次第です。

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