2015年9月号……『大学中退の厳しい現実』 塾長/青沼 隆

8月上旬、京都で開かれた「高校教育フォーラム」でショッキングな講演を聞きました。全国の高校の先生が250名弱、大学関係者など40名弱が参加したフォーラムで、高校と大学の接続、大学卒業後のキャリア形成などについて2日間にわたってさまざまな発表がありました。その中で、労働政策の専門家の方から「大学中退について」提言がありました。

小中高生を指導する伸栄学習会にとって、大学中退という問題は、実はあまり真剣に考えてこなかったテーマです。確かに、これまで何人かの卒業生から「大学をやめしまった」という報告を受けたことがあります。ただその時は、当の本人も私も、さほど深刻に受け止めませんでした。高校中退ならともかく、大学中退については、大人なのだしそれなりの考えや見通しがあっての決断だろう、と考えていたのです。

ただ、現実は決してそうではないようです。

文科省の調査によると、2012年の大学中退者は79,000人、中退率は9%。年々その数は上昇傾向にあるそうです。女子にくらべて男子、国公立にくらべて私立、入試偏差値の高い大学より低い大学、文系より理系の学生の中退率が高いそうです。中退の理由は、学力不振・意欲消失が50%、経済的理由が10%、精神・身体失陥が8%、それに対して留学などの積極的な理由はわずか20%に留まっています。

志望する大学に入学できても、志望学部の順位が低い場合は退学につながりやすい。また、AO・推薦での入学者は退学率が低く、センター入試の入学者の退学比率が高いとのことです。つまり、入学時の勉強に対する目的意識が低いと、退学につながりやすいという結果になっています。

問題は、大学中退によるその後の生活への影響です。離学後、実際の職に就くまでの期間では、卒業生と中退者では大きな差があります。3ヶ月以内に就職できる人は、卒業生が88%なのに対して、中退者は74%。しかも3年以上にわたって未就職のままである中退者は19%もいます(卒業生は5%)。また、仮に就職できても、中退者は非正規雇用につく割合が高くなっています。20~29歳の若年者について比較すると、卒業生の76%が正規雇用に、一方の中退者は41%となっています。この結果、時間当たりの収入では、中退者は卒業生の75%に留まっています。

ほとんどの中退者は、将来設計をしないまま大学をやめてしまっています。このため、就活の仕方を知りません。例えば、リクナビやマイナビなどは知っていても、そのツールが中退者にはほとんど役に立たないことも知りません(リクナビやマイナビは大卒者の就活ツールの定番です)。また、労働市場の目線は中退者には決して優しくなく、高卒者よりも不利な扱いを受けていることも知りません。これらの要因が相まって、上記のような厳しい結果になっているのが現状です。

結論は、「大学選択の基準の第一は、卒業できる大学を選ぶこと」「夢追いは止めて、基礎学力を充実すること」だそうです。大学進学の際に心すべき格言かと思います。

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