2003年11月号……『多様化する大学入試』 塾長/青沼 隆

大学入試制度が多様化しています。先日、東洋大学の担当者が、「ウチ(東洋大学)の入試制度をすべて把握している職員は一人もいませんよ」と仰っていました。東洋大学だけでも全体像を知っている人が誰もいないなら、ましてや日本全国の大学入試を知っている人などいるわけがありません。一昔前の大学入試とは大違いです。今の大学入試は、主なものだけでも次のものがあります。

①指定校推薦
特定の高校に1名とか2名(もっと多い場合もある)の入学者が割り当てられる入試。この資格を得られれば、無試験でその大学に合格できる

②私大の公募制一般推薦
3年間の評定平均(通知書の成績)が一定以上であればその大学の推薦入試を受ける資格が得られる。試験は通常、小論文と面接が課せられる。ただし、指定校推薦のように合格の保証はない。

③AO入試
一番訳のわからない入試。大学によって合否判定方法がさまざま。早い大学では高3の1学期から選考が始まる。多くの高校の先生は生徒の受験をいやがる。

④センター試験(1月中旬〉~もともとは国公立の一次試験として行われていたが、今はほぼすべての私立大学が参加。私立大学の場合、センター試験の結果だけで合格が決まる。

⑤私大の一般入試~1月から3月にかけて行われるいわゆる一般入試。大学によっては数回試験を行っている。

⑥国公立大の前期・中期・後期日程~国公立大学の2次試験(一次試験はセンター)。各大学が独自に問題を作成する。

⑦私大の系列高校からの学内推薦~いわゆるエスカレーター入学。

⑧編転入学生・帰国生徒・留学生・社会人のための試験

以上のように複雑化した大学入試に対して、高校の取り組みは実にさまざまです。原則として一般入試(上記④⑤⑥)だけしか勧めない高校もあります。偏差値レベルの高い私立高校によく見られますが、このような高校では、学校の持っている指定校推薦枠も子どもたちには知らせないところもあります。また、子どもたちの“自主性”に任せた進路指導を行う高校もあります。質問があれば相談に応じるというスタイルで、子どもから働きかけないと入試の情報は得られません。中には推薦入試を積極的に勧める高校もあります。生徒にとっては親切な指導を行っている高校かと思います。ただ、いずれにしましても、生徒一人ひとりの個々の実情に応じた指導がされるケースはあまりありません。1つは大学入試制度が複雑で高校の先生が全貌をつかみきれないことにありますが、もう1つは秋以降の学校の運営に関連するようです。多くの先生はAO入試や推薦入試で合格が早々と決まってしまった生徒の苦慮しているようです。一般入試を目指してピリピリしている中で、進路の決まってしまった生徒に緊張感を持たせるのに限界を感じているようです。

大学入試制度について、大学や高校にヒアリングしておりますとさまざまな矛盾を感じます。是非、次のことをご参考にしていただければ思います。

◆高校生について
・大学進学については自分で納得のいく情報を集めること。通っている高校の指導だけに  頼ると後で後悔する可能性が高い。
・指定校推薦の情報を必ず集めること。教えてくれない場合は、納得がいくまで聞くこと。
・高校2年生はそろそろ具体的な進路を決めること。AO入試は高3の1学期に始まる。高校1年生はそろそろ将来の進路について考えてみること。
・少子化の影響で全体的に大学入試には入りやすくなるが、一般入試は決して易しくならないことを自覚すること。一般入試から推薦・AO入試にシフトする大学が増えてるので、その流れを見失わないこと。

◆中学3年生について
・志望校の指定校推薦の枠を確かめること。入学時の偏差値と卒業時の大学進学先は必  ずしもリンクしない。
・志望校の進学実績をそのまま鵜呑みしないで、浪人と現役の割合、理系と文系の割合、  一般入試の進学者とその他(推薦など)の進学者の割合を確かめること。(「今は高校に  合格することだけで目一杯。そんな先のことまで考えられない。」という声も聞こえてきそ  うですが、できればここまで踏み込んで志望校を決めて下さい)

最後に、当学習会では以上の状況を踏まえ、一人ひとりの進路についてきめ細かくコンサルティングしていく方針です。ご要望などありましたら、何なりとお寄せ下さい。

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