2005年7月号……『入試が変わる!』 塾長/青沼 隆

千葉県ではあまり話題になっていないようですが、お隣の東京都では本年4月から公立の中高一貫校(白鴎高校附属中学)が開講しました。中学・高校の6年間を連続して学べる中高一貫校は、これまで私立の独壇場でしたがこれに風穴が空きました。来年4月からは、さらに4校の公立中学一貫校(九段・両国・都立大付属・小石川)が開講します。これにより、白鴎を含めて5校、募集定員の合計は760名になります。現時点の予測では、各校1000名、合計5000名の受験者が見込まれ、中学受験の地図が大きく塗り替えられます。

ここで注目すべきことは、公立中学という制約もあり、いわゆる国語・算数などの学科試験が課せられないということです。その代わりに、一言で表現するなら広い意味での「日本語力」が問われます。例えば、表やグラフやグラフからどんなことを読み取ることができるか、それに対する意見は、あるいは、文章を読ませて受験生の抱負を問うもの等などです。

従って、これまでの私立中学の入試とは内容も形式もすべて異なっています。私立中学の入試が知識や計算力が問われるのに対して、基本的にはこれらは直接問われません。その代わりに、文章力や発想力や論理展開力などがかなり厳しく求められます。従って、一人の受験生が、私立中学の受験と公立中学の受験を並行的に行うのは不可能だと思います。

この公立中学の受験は従来の受験の形式や内容を大きく逸脱しています。ですから、塾側も戸惑いも多く、知り合いの東京の塾長などに聞いても、「とてもこんな入試には対応できない」と答える人が多数います。いずれにしても、今後の中学受験は従来の「知識中心型」と、この新しい「日本語型」に二極化していくだろうと思います。

ただ、考えてみれば、大学入試においてはすでに入試は二極化しています。AO入試・推薦入試がそれです。今や、私立大学の学生の半数がAO入試や一般入試で入学しています。これらの入試では、基本的には学力試験が課せられないで、小論文や面接などで合否が決まっています。しかも、AO・推薦入試は、私立のみならず多数の国公立大学でも実施されており、その数は今後増加するのは間違いないと予測されています。大学入試というと、“一生懸命に英語や数学を勉強して”というイメージで捉えられているようですが、現実はかなり異なっています。

公立中学の入試の中身は、文章力や表現力が問われるという意味で大学入試のミニチュア版といえます。従って、受験全体を眺めれば、大学受験に加えて中学受験でも入試の二極化が進みつつあると捉えることができます。ですから、そんなに遠くない将来、中学受験と大学受験に引かれるように、高校受験も「知識中心型」から「日本語型」の並立に変わる可能性もあります。現時点では、主なところですは、早稲田高等学院(早稲田直系の高校です)が定員の3分の1を学科試験を課さないで面接試験だけで入学者選抜を行っているだけですが、この動きが加速すれば高校受験も大きく変わります。

このように考えますと、これから、ますます入学試験における「日本語力」の重要性が高まります。従来の「国語」という枠を超えて、表現力、読解力、論理展開力が直接、入試を制する場面が増えるだろうと思います。現状では、まだまだ、受験生や保護者、あるいは、学校・塾・予備校には、“入試”イコール“学力”の先入観があります。その意味で、発想を変えて受験界を眺めますと、「人の行く裏に道あり、花の山」の格言ではありませんが、隠れた道があることに気付かされます。

当学習会で進めている「速聴」「速読」、これらを総合した「パーフェクトジャパニーズコース」は、ますます入試に直結した意味を持つようになります。また、すでに、大学入試のAO・推薦対策を進めていますが、今年からは、公立中学受験対策も本格的に行うことにしました。千葉では、公立中高一貫校の関心は高くありませんが、東京にお住まいの方で同中学受験に関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご紹介いただけたら幸いです。(なお、千葉県では2008年度<今の小4が中学進学時点>から県立千葉高校の附属中学が開校予定です。)

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