2012年10月号……『個別指導って何だろう』 塾長/青沼 隆

どんな業界でもそうだと思いますが、学習塾にもさまざまな勉強会があります。その時によくテーマになるのが「個別指導とは何か」という問題です。塾長が集まってディスカッションしていると、時間がたつのを忘れてしまうことがよくあります。「何でそんなことが」と思われる方もいらっしゃると思いますが、実はこれは案外、奥の深い問題です。

「個別指導」と対比されるのは「集団指導」です。よく、個別指導は「一人ひとりにわからないところを教える」といわれます。しかし、そんなことは集団指導でも当然行われています。わからなくなった子どものフォローをしないなら、そんな塾はすぐにつぶれてしまいます。

「個別指導は一人ひとりのレベルに合わせて指導する」ともいわれます。これも集団指導で当然行われています。講師は教室のすべての子どもを想定して授業を組み立てます。だから、レベルに合わない指導を行うなんて考えられません。

「個別指導はつきっきりで教えてくれる」ともいわれます。確かに、教室のレイアウトはこのようにできています。しかし、子どもにとっては、困ったときに先生が必要になるのであって、四六時中、先生が必要なわけではありません。どうしても先生が近くにいないと勉強が進まないという子どもを除いて、これもあまり意味がありません。

先生と生徒の人数比もよくいわれます。しかし、「1:4」の集団授業もあれば、「1:6」の個別指導もあります。私の知り合いで「1:20」の個別指導を行っている塾長もいます。そもそも、「1:1」だからきめ細かく、「1:20」だから大ざっぱな指導が行われるわけではありません。要は講師の力量の問題であって、「1:1」でも平凡な講師なら子どもの痒いところに手が届きません。多くの方が、大学生のアルバイト教師に疑問をお感じになっているのと共通します。

このように考えますと、「個別指導」と「集団指導」にはさしたる違いはなく、一般的によく言われる、「わかりやすさ」「レベル」「きめ細かさ」というのは、気分の問題ということになります。ただ、その中で、私なりには、両者を区別する決定的な違いが1つあると考えています。それは「カリキュラム」です。

集団指導ではカリキュラムの決定権は塾にあります。従って、子どもたちは塾で決めたカリキュラムに従って勉強を進めます。勉強の進むスピード・難易度、それに教材は塾が決定して、基本的に子どもたちには決定権がありません。一方、個別指導の場合は正反対です。スピード、難易度、教材を含めてカリキュラムの決定権は子ども側にあります。従って、どんなやり方でどんな勉強をするかはすべて子ども側が自由に決められます。

ただ、すべてを子ども任せにすれば大きな問題が生じます。従って、現実問題としては、子どもの状況、それにご両親さまの要望をお聞きして、塾がオーダーメイドでカリキュラムを作って提案していくというのが一般的です。このように考えますと、個別指導の本質は、その子にあった勉強方法を提案して、その実行をウオッチしてカウンセリングしていくことだと思います。

個別指導のメリットやデメリットについてはさまざまな誤解があります。恐らく、その多くは講師の力量に帰着するもののように思えます。よりよい個別指導塾になるよう、私たち講師に課せられた課題は無数にあると感じています。

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