2001年11月号……『お子さま天国』 塾長/青沼 隆

◆授業料の滞納
最近の新聞に、「千葉県公立高事務長会が、授業料の滞納に関するマニュアルを作成し、滞納生徒にアルバイトを勧める記述があることが分かった。」との記事がありました。たまたま、朝のテレビを見ていましたら、出演者がこれに関連して、したり顔で「こんなことを高校生に強要するなんてひどいですね」的なコメントをしていました。私自身、実際にマニュアルを見たわけでもなく、また、背景を知っているわけでもありません。ただ、このニュースに接して、反射的に、ある都立高校の校長(その学校はいわゆる偏差値の低い高校でした)の話を思い出しました。
この校長によると、その高校では授業料の滞納額が累計で数百万円単位に達し、その時点でも滞納者がかなりの割合でいるとのことでした。(詳しい数字は忘れました)。あまりのことにその校長は原因調査に乗り出したとのことですが、滞納している家庭は貧しくて学費が払えないという状態ではなかったそうです。授業料といっても年額10万円程度です。しかも、払えないと言っている家庭の高校生のほとんどは、携帯電話を持っていたとのことです。そこで、その校長は、各家へ取り立てに回ったそうですが、彼ら彼女らの両親の多くは、口実とは思えない態度で、「子どものことなんか知らないよ」的な応対をしたそうです。一方、当時、その高校では生徒指導上の問題が頻発していたそうですが、多くの両親は“暖簾に腕押し”の状態だったそうです。この2つを総合して、その校長は、「親が子どもに対して責任を果たしていないから、子どもに強く当たれずに、子どもの言いなりになっている。」と語っていました。

◆子どもを叱れるだろうか
正当な理由がないのに授業料を滞納するような親なら、子どもに対して強く当たれないのは当然かもしれません。しかし、この問題はこれだけに収まらないような気がします。というのは、子どもに対し責任を果たしている親であっても、子どもに対してあまり強く当たらない両親が増えているような気がするからです。何か、社会全体が妙に子どもに対して遠慮がちで、ますます「お子さま天国」的な雰囲気が強まってきているのを感じます。最近の教育を取り巻くキーワードを見ても、「個性尊重、ゆとり、子どもの人権………」など、子どもの耳に快いものが増えています。
理由なく学費を滞納する親はまだまだ少数だと思います。しかし、その無責任な親たちが醸し出す弱腰の雰囲気が、子どもを助長する社会全体の流れと相まって、ふつうの親たちの深層心理にも影響を与えている………もちろん、確証はまったくありませんが、もしそうだとしたら大問題です。
論語にも『父、父たり。子、子たり。』(親は親らしく、子どもは子どもらしく)という言葉があります。この校長の言葉を逆手に取れば、当学習会にお子さまを通わしているご両親様方は、通常の学費どころか追加的な負担もされているわけです。子どもに対しては十二分にその責任を果たしている、と言って間違いありません。ですから、お子さまに対して何ら遠慮をなさる必要はないわけです。子どもが多少不快に感じようと、子どもの意にそぐわかなかろうと、ご両親様方は、信念を貫くことに何ら矛盾は生じないわけです。
同時に私たちも、そのご両親様の信託をいただいているわけです。そのことを再認識し、子どもの一時の感情に左右されずに、子どもの将来を見据えた骨のある教育を行っていきたいと念じます。

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