2002年1月号……『おじぎ』 塾長/青沼 隆

年明け早々に、恒例の高校入試のための「面接の練習」を行いました。この面接の練習は塾を開いた当初から行っていますので、もうかれこれ20年くらい続けていることになります。この長いスパンで捉えますと、生徒がずいぶん変わっているのを感じます。なかでも、おじぎのできない生徒が増えていることです。十年以上前のことを正確に覚えているわけではありませんが、あまり、面接の際の態度について注意した記憶がありません。ところが、現在は、面接後の注意(一人ひとりにコメントしています)の大半は態度に集中します。特に、面接の入退室時のおじぎに多くの時間を費やしています。

ここ数年、入退室時にキチンとおじぎのできる生徒がほとんどいなくなってしまいました。おじぎといっても特別なことを言っているのではありません。指先を伸ばして、動作を止めて頭を下げられるかどうかだけです。ほとんどの生徒は、歩きながら、手を丸めて頭をほんの少し下げるだけです。中には、乱暴にドアを開けて、挨拶をしたのかしないのかわからないままドスンと着席する生徒もいます。面接終了後に、ぶっきらぼうに何か小声で言って(たぶん「ありがとうございました」と言っているのでしょう)、そそくさと不機嫌そうに退室してしまう生徒もいます。何か、こちらに重大な過失があったのか心配することすらあります。(後で本人に確認するとそんな気持ちは全くなかったと言います。)
面接終了後に、おじぎの仕方にルールがあることを言うと皆が驚きます。そんなことはこれまで聞いたこともないと口をそろえて言います。知らなければできるはずがありません。今の子どもたちは、知識としておじぎの方法を知らないと理解すべきかと考えます。

確かに、家庭や学校を取り巻く環境も変化して、子どもがおじぎの仕方を教わる機会があまりなくなったのかもしれません。「おじぎの仕方などできて当たり前」という常識は、若年層では通用しなくなりつつあるようです。

面接の練習で、おじぎの仕方を指導しますと、見違えるくらい立派な振る舞いができるようになります。知っているか知らないかが、大きな差になることに驚きすら感じます。ただ、この子どもたちが、数ヶ月後にキチンとできるかどうかはわかりません。所詮、付け焼き刃ならやがて忘れてしまうでしょう。

実は、この種の問題について塾は微妙な立場にあります。先日は、「面接の練習」という具体的な場面が設定されていましたので、おじぎも含めて態度について指導することができました。ただ、これを、いつもやろうとすると難しさが生じます。現在、当学習会では、あいさつ(「こんにちは」という声かけ)、授業中の姿勢、先生に対する敬語の使用などは徹底して指導しております。しかし、おじぎとなると別問題です。もし、実行に移した場合、当然、子どもたちの反発を招きます。それはよいとして、問題はご両親さま方のご支援をいただけかどうかです。「塾にはそんなことは期待していない」とお考えのご両親さまもいらっしゃるだろうと思います。

ただ、個人的な考えになりますが、これは単に入試の面接だけに留まらず、子どもたちが知っておいた方がよいルールではないかと思います。いろいろ考えましたが、この問題につきましては、ご両親さま方の個々のご判断にお任せして進めるのが妥当ではないかと思います。つきましては、おじぎなどいわゆるマナーについて指導を希望される方は、塾にその旨お電話をいただくことにしました。ご依頼をいただきましたお子さまにつきましては、塾全体とは切り離して指導を進めていきたいと考えます。もちろん、学年は限定しません。受験学年以外の方のご依頼もお待ちします。奮ってお電話下さい。

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