2010年11月号……『「書く」ということ』 塾長/青沼 隆

授業中、子どもたちと接していて気になることがあります。わからなかったり、間違えた時、講師がやり方を説明して、もう一度、考え直させたときのことです。こんなときに、子どもたちの中にはエンピツを持とうとせずに、頭の中だけで考えて、口で答えを言うケースがあります。「あっ、先生、わかった。答えは○○○でしょう!」というのが典型的なパターンです。

答えは合っているときもあれば、間違っているときもあります。ただ、この場合、いずれにしても、私たち講師は、「ノートに答えをキチンと書きなさい。」と指示することにしています。算数や数学の場合は途中の計算式を書かせるのはもちろんです。ノートに書かせるのは、考えのプロセスを明確にするためです。英語の場合はスペルを確認するという意味もあります。口頭での解答は、どうしても考えが浅く表面的になりがちだからです。

「ノートに答えを」という私たちの指示に対して、子どもの多くは、ふくれっ面をします。そして、自分の答えが、合っているか、間違っているかを何度も確認してきます。その上で、「ノートがもったいない」「書かなくてもわかっている」など、屁理屈を言う子どももいます。子どもとのやり取りに、かなり時間がかかることもあります。

恐らく、子どもの言い分は次の通りだと思います。先生の説明を聞いた→自分の誤りやわからないところがわかった→考えた→答えが出た→その答えが合っているかどうか先生に確認した………というところだと思います。ただし、この思考プロセスは一方向にしか向かっていません。自分の思考を自分で再確認して、誤りがないかどうか確認はしていません。そもそも発端は、誤答したり、わからなかった問題からスタートしています。これを「自分のモノ」にするには、しっかりした思考プロセスを踏むことが不可欠です。書くという行為を通じて、自分の考えは客観化され、再検証されます。だから、「ノートに書く」という行為はとても大切です。

しかしながら、これらのことを子どもに理解させるには簡単ではありません。子どもの多くは、自分の考えを検証することより、自分の出した答えが合っているかどうかに、より大きな興味を感じているからです。ただ、大切なことは、これらの事がらを子どもに完全に理解させることよりも、書くという習慣をまず身につけさせることだと考えています。

以上は、授業の中の小さな一コマです。ただ、このような中から、考える力の芽が育つと信じています。

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