日本の塾を研究しているカナダの大学助教授が当学習会に見学にいらした。


 彼はここ数年間、日本の塾を学問と対象として研究しているとのことだ。面白いことに、塾はこれまで、日本人研究者も含めて、学問の対象として扱われたことがないそうだ。


 彼はドイツ人。学生時代にアメリカに留学して、その後カナダの大学で研究者になったとのことだ。ドイツ、アメリカ、それに日本の教育制度について詳しく、とても示唆に富む話をいろいろしていただいた。


 その中で、特に印象に残ったのが次の会話。


 彼:「なぜ、塾では学級崩壊が起こらないのか」


   私:「もし、塾で学級崩壊が起きたら、生徒は塾をやめる。学級崩壊が起こる前にその塾はつぶれる。それに、塾にはお金を出してわざわざ通ってきているので、子どもの意識も違う。」


 彼:「それが、ドイツ人には一番わかりづらいことだ。お金と教育はもともと関係がないはずだが」


 私:「エ!、それはどういうこと?」


 彼:「学校、学問の目的は人間の完成にある。教育はそもそも、特別な技術とか社会的な成功を目的にしているものではない。商品のように、“お金を払って何かを得る”という枠組みとは別なもの。ドイツの子どもたちは、教育にお金がかかっていること自体を意識していない。だから、お金と意識の関連はドイツ人には理解しがたい」   ………………


 今、「教育にも市場原理を」というのが当たり前のように議論されている。ただ、考えてみれば、これはアメリカ流のものの考え方。


 彼の話を聞いて、恥ずかしながら、久しく忘れていた「教育の目的は人間の完成」という定義を思い出した。


 本当に教育は市場原理に馴染むものなのかだろうか。もし、そうだとしたら、塾の存在って何だろう?………改めていろいろなことを考えさせられた。


 


6/13追記-------- 


Julian Dierkesさんより、研究テーマ・内容についてのご紹介をいただきました。外国人研究者が日本の塾をどのように見ているかご参考になるかと思います。是非、ご覧下さい。


http://www.sociolog.com/jdierkes/abstracts/juku_sshrc_jp.html


 


 

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